精神障害とは・・・・・

精神障害は様々な精神疾患が原因となり起こります。主な精神疾患には、統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病など)、精神作用物質(アルコール、シンナーなど)による精神疾患などがあります。厚生労働省では、障害者雇用促進のための各種助成金の対象となる精神障害者の範囲を、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人または統合失調症、躁うつ病、てんかんにかかっている人で、症状が安定し就労が可能な状態にある人としています。また、雇用率の算定対象となる精神障害者の範囲を、精神保健福祉手帳の交付を受けている人としています。
なお、てんかんはWHO国際疾病分類では「神経系及び感覚器の疾患」とされていますが、厚生労働省における精神障害者としての施策の対象としています。

STEP1 精神障害の法律における定義

「精神疾患」や「精神障害」については、法律や診断基準によってさまざまな定義があり、国際的にも、まだ統一されていません。そのため、国によって、また、判断する医師などの専門課によって病名や障障名が異なる場合があります。
日本でも、法律によって精神障害の定義は異なります。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(精神保健福祉法)では、「精神障害」を「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又は、その依存症、知的障害、精神病質「その他の精神疾患」にひとまとめにされていたり、知的障害も含まれていたりと、とても幅広い定義になっています。一方、「精神障害者」は「障害者基本法」で、「精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるもの」(第2条)とされています。前者が、医学的な視点から、後者は社会とのかかわりの中で、障害を多角的にとらえようとしています。国際的な規格においても、昨今は、後者のような福祉的な視点で、個人の尊厳を大切にしようとする考えへと変化してきています。

STEP2 心の病と精神障害

精神疾患には、原因によって心因性、外因性、内因性などの分類があります。また、それらの原因が相互に影響し合って起こることもあります。精神疾患は単に、遺伝や、親の育て方、その他の性格などが原因ではありません。「うつ病」や「統合失調症」は、ストレスや生活環境などの何らかの原因によって、脳内の神経を伝達する物質(神経伝達物質)のバランスが崩れることによって引き起こされると考えられています(内因性精神疾患)。つまり、「脳の病気」であり、だれでもなる可能性があるのです。

精神疾患が起こると、その症状から様々な「生活しづらさ」が生まれてきます。こうした困難は、病気だけが原因ではなく、社会環境や個人の状態などがかかわりあって引き起こされます。この「生活しづらさ」がある状態を、精神障害ととらえます。

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STEP3 生活に及ぼす影響

精神障害があることによって、その人が感じる大変さやつらさ(生きづらさや生活しづらさ)には具体的に次のようなものが挙げられます。

【精神疾患による生活のしづらさの具体例】

A 陽性症状

そこにいない人の声が聞こえる《幻聴》

だれかに見られている感じがする《妄想》

体の中に何かがいる感じがする《体感幻覚》

B 陰性症状

楽しいと感じられない 《感情の平板化》

なにもやる気がしない 《意欲低下》

人のいるところへ出たくない 《ひきこもり》

たとえば、うつ状態や、やる気が起きないもどかしさ、また、幻聴・幻覚、妄想などの症状は、はた目には見えにくく、他人から理解してもらいにくいという側面があります。そのため、「怠けている」「何を考えているかわからない」「つき合いづらい」などの印象をもたれる場合もあります。
精神障害のある人が経験する症状は、一人ひとり違います。その人にしかわからないつらさがあるということを、周囲の人たちが正しく理解して、一緒に過ごしやすい環境を作ることが大切です。

STEP4 精神障害のある人のサポート

精神障害のある人のサポートを担う機関として、地域の行政機関(精神保健福祉センターや保健所、障害者支援担当課)、医療機関(通院、入院、デイケア等)、地域生活支援背インターや作業所等の通所施設、一人暮らしへのステップとしてサポートしてくれるグループホーム等の入所施設や、働くことへの支援をする就労支援センターなど、その人が目指す内容や目的気に応じてさまざまな資源があります。また、家族をサポートする「家族会」も全国にたくさんあります。


精神障害者の雇用義務化

はじめに

厚生労働省の労働政策審議会障害者雇用分科会にて、障害者雇用促進法を改正し、「精神障害者を雇用義務化の対象とする」とまとまりました。(平成25年3月14日現在)。現状、精神障害者を雇用した場合には、その数を「実雇用率」にカウントできることになっています。しかし、現行の制度は、いわゆる「みなし雇用率」制度といわれるものであり、精神障害者の雇用を事業主に直接義務付けているものではありません。精神障害者の雇用義務化が実現すると制度はどのように変わるのでしょうか。

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みなし雇用制度?

この点を明らかにするためには、現行の法定雇用率がどのように定められたかを見なければなりません。民間企業の法定雇用率は、平成26年4月から2.0%に引き上げられした(従来は1.8%)。その根拠は、身体障害者及び知的障害者である、常用労働者数と失業者数の合計をわが国の常用労働者の総数で除して得た割合に基づいています(なお、これには短時間常用労働者も含みますが、0.5人と計算)〈図A式〉。つまり、すべての企業が法定雇用率(2.0%)を達成するとすべての身体障害者及び知的障害者の完全雇用が実現することになります。
しかし、この式の分子には精神障碍者の数は含まれていません。このため、現行制度では、精神障害者を雇用した場合は身体障害者又は知的障害者を雇用したものと「みなして」、実雇用率にカウントされます。言い換えると、身体障害者や知的障害者の雇用の枠を、いわば「借りて」いることになります。

精神障害者の雇用義務化の意義

精神障害者の雇用義務化が実現した場合の意義は、なによりも、精神障害者の雇用が事業主の責務であることが法律に明記されることにあります。それとともに、法定雇用率の算定式も図B式のように変わります。すなわち、A式の分子に精神障害者の数が加わりますので、当然、法定雇用率はその分だけ高まることが予想され、それだけ精神障害者はもとより(これまで枠を貸していた他の障害者にとっても)雇用機会が高まることになります。
また、法定雇用率の大幅な引き上げが急激に行われれば、事業主側の負担が大きくなりすぎるかもしれません。あるいは、せっかく制度ができても事業主側の受け入れ体制が整わないと精神障害者の受け入れは現実的には進まないのかもしれません。このため、企業への支援体制の充実を図るとともに、実施時期についても、5年後の2018年4月とある程度準備期間が置かれるとみられます。働きたいと願っている精神障害者の方たちは大勢います。精神障害者の雇用義務化が実現し、働く場が広がるためには、こうした点についての国民全体の理解が求められます。
≪参照≫JOB MENTER No.24

精神障害の知識

一般社会・一般企業の精神障害者のイメージ

「差別と偏見」怖い・暴力をふるうのでは・・・
→しかし実際つき合ってみると、意外に能力が高い?ほかの障害者ができない困難作業ができる
→さらに付き合ってみると、意外に能力が低い?見た目よりもやっぱりできない、安定しない、医師の意見書1枚で休まれては困る・すぐに出てこなくなる・・・。
→さらなる理解を!

  1. 対人能力に関する障害特性の理解
  2. 工夫や段階的負荷・短時間労働・早めの休憩など
  3. 不安定さへの理解「波」理解

悪い時もあるが、良い時もある。お互い気長にあわてずゆっくりと向き合っていくことが大切である。

雇用側の気持ち

「精神障害者」で大丈夫か・・・。
→障害受容ができていて、さらにオープンにできている方なら大丈夫。

クローズではなく最初からオープンで来てくれないと困る・・・。
→まずは本人の障害受容が必要、オープンにするにも大変な勇気と決断が必要です。その勇気を手に入れるためには成功体験の積み重ねと、周囲の支援が必要です。

障害者を担当する現場職員のストレスが不安・・・。
→担当者を孤立化させないことが大切です。チームでの支援体制の確立をしなければなりません。

中小企業に余力はないため大企業しかできないのではないか・・・。
→安定した時はむしろ重要な戦力として期待できます。本来、生真面目すぎるくらいの方が多いです。

かかわり方がわからない・・・。
→障害特性として特徴は確かにあります。その特徴を知ることが重要です。障害のことやその人自身のことを知ったうえで、ごく「普通」の対応をすることが重要です。

障害者の気持ち

  1. 会社に理解がない、人間関係がうまくいかない
  2. 自信が持てない
  3. 体調不良だといえない、休めない、そして頑張りすぎてしまう
  4. 「無理です」「できません」と断ることができない

→「発信」する技術「話す」「伝える」技術を身に付ける
事前に誰に、いつ、どのように伝えるか決めておくとうまくいきます。定期的な振り返りやフィードバックの場の設定をすることがアセスメントのポイントになります。不安定な時ほどうまくできません。予防や保険的考え方で事前準備をするといいでしょう。

  1. 本人が望まなくても体調が悪くても、家族が無理にでも出社しろという

→「自立」「自律」とは、自分の人生を自分で選んでいくことです。休むことも「自律」です。働くということは、家族からの経済的な独立であり、精神的な独立でもあります。しかし自分の力だけで無理なら、誰かの力を借りる勇気を持ったり、支援を引き出す力を持つことも働くうえで重要となってきます。

支援者の気持ち

  1. 本人がその人それぞれに合った仕事が選べない。もっとできるはずと仕事の選択基準が病前と同じ場合や、支援者からすると休養が必要にもかかわらず、真面目な方が多く休むことを進めても休んでくれない。

→体験の積み重ねが必要となります。失敗も体験、重要なのはその後のフィードバックにあります。障害受容のプロセスを一緒に歩む覚悟が必要です。失敗も一緒に歩んでいきます。

  1. 更なる負荷(残業・期待など)を断れないのでオーバーワーク気味になってしまう。

→当事者は気づきにくいもの。支援者・雇用側での制御も必要となります。

  1. これは病気なの?障害なの?それとも性格?
  2. 障害の事前情報・事前学習がかえって対応が不自然な受け入れを招く
  3. 家族の意向を優先して、本人の意向が見えてこない

→更なる理解を。支援者の視点は「意思決定支援」「エンパワメント」です。人生は選択の連続であり、選択する力を取り戻していきます。それは自分自身を取り戻すということにもなります。選択する条件を整えるのが支援者であり、情報提供・応援・見守り続けていきます。

精神疾患の範囲と分類(ICD-10 操作的診断基準
F0 症状性器質性精神障害 アルツハイマー病型認知症など
F1 精神作用物質使用による精神および行動の障害 物質使用による中毒、依存症、明らかな精神障害など
F2 統合失調症、統合失調型障害および妄想性障害 統合失調症、持続性・感応性妄想障害など
F3 気分(感情)障害 うつ病、躁うつ病など
F4 神経焼成、ストレス関連障害および身体表現性障害 不安障害、PTSD、解離性障害など
F5 生理的障害および身体要因に関連した行動障害 摂食障害、産褥に関する障がい、心身症など
F6 成人のパーソナリティーおよび行動の障害 人格障害、病的賭博、性同一性障害
F7 精神遅滞 軽度・中度等・重度精神遅滞など
F8 心理的発達の障害 学習障害、広汎性発達障害など
F9 小児期および青年期に通常発症する行動及び情緒の障害および特定不能の精神障害 ADHD、行為障害など

 

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統合失調症とは

統合失調症は精神疾患の中でも、社会復帰への援助に最も力を入れなければならないものの一つです。患者数が多く、感情表出や思考、知覚の面で様々な症状を示す急性期から回復しても、各種の障害が後遺症として残って社会での自立した生活を困難にすることが多くありあます。
この病気にかかると、精神活動の様々な側面に大きな変化が現れます。たとえば、感情表出の面では、表情や身のこなしが硬い、感情を示さない、自分の殻に閉じこもるなどの症状が見られ、思考面では、支離滅裂な思考や強迫観念、妄想などの独特の症状が現れます。また、幻聴や幻覚などの知覚面での症状や自分が自分でないように感じたり、人に操られていると感じるといった自我意識面での特異な症状も見られます。
この病気の原因はまだ十分に解明されていません。現時点では、ストレスに対する脆弱性に、ある種の原因が加わると発病することがあるということです。発病するのは青年期が多く、先進工業国では100人に1人の割合で発病するといわれています。
薬物療法を中心とした精神医療やリハビリテーションの進歩によって、病気から回復し、自立した職業生活を送る人も大変多くなっています。
統合失調症の場合、先に述べたように、一旦回復しても、人によっては後遺症が残ることが知られています。この後遺症としての障害は先に述べた症状とは必ずしも同じではありません。また、それらの中には再発予防のために服用している薬の副作用や入院体験による社会性の減退によると考えられるものもあります。
統合失調症から回復した人によく見られる特徴としては、回復した人によく見られる特徴としては、これらの人を指導したり雇用した方々の指摘によれば次のようなものがあります。

  1. 細かな指先の動作が苦手
  2. 動作が緩慢
  3. 周囲への関心が乏しい
  4. 複雑なことが苦手
  5. 臨機応変に判断することが苦手
  6. 問題を切り抜けることが苦手
  7. 自信がない、持てない
  8. 新しいこと(変化)に対して不安が強い

これらの特徴はマイナスイメージにとらえられがちですが、仕事の中身や指導の方法を工夫することにより、十分克服でき特性を生かして活躍することも可能です。

気分障害(うつ病、そううつ病)とは

気分障害とは、生活に支障をきたすほどに異常に気分が沈んだりハイになったりする状態が長く続く病気で、その代表は、うつ病(単一性障害)とそううつ病(双極性障害)です。以前は感情障害とも呼ばれていましたが、気分が高揚して泣いたり笑ったりする感情の病気というよりも、持続的な身体全体の病気ととらえられるようになり、現在では一般に気分障害と呼んでいます。
うつ病では、一般に身体と精神の両方に症状が現れます。身体症状としては、睡眠障害、食欲不振、性欲減退、頭痛・腰痛・肩の痛み・疲労感・倦怠感などが見られます。精神症状は、身体症状に隠れて見逃されがちですが、抑うつ状態、日内変動(特に朝方の憂うつ感がひどく、夕方になるにつれて軽くなっていく状態が続く)、集中力低下、注意力散漫、意欲低下、不安、取り越し苦労、自信の喪失などが特徴的です。身体の症状が強く表面に出て、精神の症状が目立たない「仮面うつ病」と呼ばれるタイプもあります。
「そう」は、「うつ」とは逆に気分の高揚が特徴で、気力や活動性の亢進があります。たとえば、社交性が高まり、あちこちに電話をかけたり、話が止まらなかったり、過度のなれなれしさがでたりといった特異な行動が見られることがあります。うつの睡眠障害とは反対に、寝なくても平気である場合が多いのが特徴です。このそう状態が交互に繰り返されるのがそううつ病です。
≪引用文献≫独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構「精神障害者雇用管理マニュアル」


精神障害と就職について・・・

精神障害の人は、個人で就職や就職活動されている方もいますが、就労支援があった方が継続した就職につける可能性が広がります。発達障害の就職には、一般就労(障害をクローズして働く)障害者就労(障害をオープンして働く)の2種類があります。一般就労においては、周囲の社員達の理解や支援が得られず、仕事や対人関係の躓きが見られ、精神的にかなり苦労したり、就職が長続きしないことが多いです。一方、障害者就労では周囲の社員達の理解や支援が得られ、就労するに当たり、発達障害の人個々の特性に合わせた配慮を求めることができます。そのため働きやすく、より継続した就労につながる可能性があります

精神障害の雇用のポイント1

医療との連携の重要 通院・服薬

「病気」と「障害」「変動」と「固定」→病気としての変動の制御する
再発・悪化を繰り返すと知的水準・能力が低下する
だからこそ「早期発見・早期治療」病気の大原則、風邪でも一緒

能力の問題より不安定の問題

「波」の理解
行政・専門家のバックアップ
障害に理解のある現場担当者、支援者の継続的張り付き

ケアプランとゴールの作り方

「働きたい」=「生活」「生計」「自己実現」「国民の義務」
何のために働きたいか、お金を稼ぎたい、社会に参加したい、なんとなく・・・など
就労ニーズの正確なすり合わせが必要→どのように働きたいかが決まる
就労支援は人生の支援の一部です
病状、住まい、就労の事など含めて、支援はトータルで考える。

精神障害の雇用のポイント2

障害者一人ひとりに合った支援の構成

個別性重視 ケアプランの多様性
タイミングも重要
障害受容と就労能力・特性の把握(本人・支援者・雇用側みんなで)

継続的かつ弾力的な支援 徐々に支援の濃度を薄めていく「引き算の支援」
定期的な振り返りを行う 評価点(モニタリングポイント)の設定
必要な時に介入できる仕組み そして介入できる信頼感・関係性を作る
特に危機介入(インターベーション)の方法論を事前に決めておくとよい
体験の提供 社会経験の希薄さによる、危機回避の経験値の低さ
就労という実体験での学びと成長 それを根気強く気長に支え見守る
本人を支える会社の「仲間」と「所属」意識 会社以外での「仲間」と「所属」
チーム支援

複数の支援者 雇用する企業の中でも、外部の支援機関も、病院の主治医も含めて連携しながら支援する

精神障害者が本来持っているチカラ(生きるパワー)を出しやすいのは、障害の有無には関係なく、自分ができること、自分が認められること、自分が興味のあることで、

「私できるかも」
「明日はもっと良い日かも」
「生きていて良かった」など
実はそんな感じ方・考え方は生きてゆく上では大事な原動力となります。

精神障害の雇用のポイント3

  1. 良い職場とはどんな職場か。良いコミュニケーションができる職場→「話す」「聴く」が良くできる→ストレスのない職場。
  2. 人との良好な関係
  3. 明るい、笑いがある

「笑い」は万能の薬です。「笑い」は高度なコミュニケーション能力です。
「無視」「孤立」は万病の元ともいえるのではないでしょうか。

≪引用≫「精神に障害のある方の雇用促進セミナー」
のぞみの丘ホスピタル 地域支援部長臼井 潤一郎 先生 

精神障害者の方たちの話が、一見すると理解できない時もあります。「いや、それはちがう」と思うかもしれませんが、まずは傾聴、相手の話を聞いてください。それでも違うときは違うと指摘してあげるべきですが、まずは肯定的に聞くことからはじめてみてください。